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「定期借家契約」の注意点とメリット・デメリット

 

将来自分で住みたい物件を貸すときに使われることの多い定期借家契約ですが、まだまだ認知度が高いとは言えません。
今回の記事では定期借家契約のメリットやデメリット、そして注意点などをご紹介します。

 

普通借家契約と定期借家契約

 

以前より使われている契約形態が普通借家契約です。契約期間の満了ごとに原則契約更新されます。
定期借家契約は平成12年(2000年)に新設された新しい契約形態です。契約期間の満了により契約が終了し、更新することができない契約です。
(更新のかわりに再契約という形で、同じ入居者の方に引き続き入居いただくことも可能です)

 

どのような場面で定期借家契約が使われているか

 

今までの普通借家契約では、原則更新されるため一定期間だけの契約をすることが難しく、例えば海外出張中だけ家を貸すことなどが困難でした。
一方の定期借家契約では契約期間が自由に定められることや期間の満了で契約が終了するため、「海外出張中だけ貸すこと」などが可能になりました。

定期借家契約にはそのような特徴があるため、下記のような用途でよく使われています。

・自己使用の予定がある物件
・将来建て替えを予定している物件
・ウィークリーマンション(自治体により旅館業法になる場合もあります)

 

定期借家契約のメリット

 

・契約期間を自由に設定できる

普通借家契約では1年未満の契約ができないが定期借家契約では1年未満の契約もできます。

・期間満了で契約が終了する

普通借家契約では原則更新されますが、定期借家契約では終了します。そのため、前述のように自己使用の予定がある物件や老朽化により建て替えを予定している物件などで定期借家契約が活用されています。

・賃料増減しない旨の特約が有効

普通借家契約では増額をしない特約のみ有効ですが、定期借家では契約中の家賃を固定することができます。

 

定期借家契約のデメリット

 

・手続きが煩雑となる

契約時には書面の発行や事前説明などが必要となり手続きが増えます。また、契約時だけでなく契約中も終了通知などの手続きが必要となります。

・普通借家の物件より成約賃料が下がりやすい

契約の手間が増えてしまうことや、契約終了時に退去しなければならなくなるリスクから定期借家契約の物件は入居者から選ばれにくくなりがちです。そのため普通借家の物件の賃料相場より家賃が下がりやすいです。
また、定期借家契約の認知度がほとんどないことも拍車をかけています。

 

定期借家契約の認知度

 

定期借家契約-認知度

 

定期借家契約-割合


国土交通省の住宅市場動向調査によりますと、定期借家契約を知らない人の割合は62.8%です。
また、定期借家契約で行われた契約は全体の1.9%でした。
この調査結果から、定期借家契約の認知度はほとんどなく、まだまだ一般的ではないと言えます。

 

出典:国土交通省 令和3年度住宅市場動向調査報告書(https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001477550.pdf)

 

定期借家契約の注意点

 

定期借家契約にはいくつかの注意点があります。これらの条件が満たされていない定期借家契約は、契約の終了を主張できなくなることや普通借家契約の扱いになる場合があります。

 

【契約時の注意点】

1.期間を定めることが必要

契約期間が確定していることが条件の一つです。これには、例えば「転勤が終わるまでの期間」などの停止条件は使えません。

2.書面による契約が必要

普通借家契約と異なり、定期借家契約では書面による契約が必要です。

3.事前説明が必要

定期借家契約では契約の前に書面を用いた事前説明が必要です。
説明の内容は、契約の更新がないことや、期間の満了により契約が終了すること、それから契約の終了年月など定期借家契約について理解できるような内容でなければなりません。

 

【契約中の注意点】

終了の通知が必要

定期借家契約の期間が満了する前には事前の終了通知が必要となります。
通知を行える期間は契約終了の6ヶ月前から1年前までです。
通知なしでは契約の終了を主張できなるため通知忘れには注意が必要です。

※ただし契約期間が1年未満の場合は通知は必要ありません。

 

【契約期間終了後の注意点】

再度契約の手続きが必要

契約期間満了後、同じ入居者の方に引き続き居住してもらう場合には再契約が必要です。
再契約無しでの居住が常態化すると普通借家契約に移行したとみなされる場合があります。

また再契約の際は、事前説明と重要事項説明が必要となります。

 

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